世田谷区の認可保育園の今年4月入園一次申込者数は、過去最大の6,741 人と大幅に増加しました。保育待機児の激増も見込まれます。非内定となったご家庭からは切実な不安の声を多数いただいています。世田谷区は、この声に真剣に向き合い、早急に対策を講じるべきと考えるため、保育待機児問題について2つ質問します。
まずは、定員確保の取り組みについて。私は、0歳児枠はあまり多く増やすべきではないと考えます。なぜなら、0歳定員を増やすといわゆる「保活」の激化が懸念されるからです。昨今、保育待機児問題が落ち着きつつあったことから、「子どもが1歳になるまで家庭で育てたい」というご家庭が増えているようです。しかし、今回の入園選考の厳しさもあり、「1歳入園は激戦だから、0歳から申し込むべき」「0歳から認可外に預けて加点をもらって1歳4月の認可入園を狙うべき」と、すでに来年度に向けたアドバイスが飛び交っています。保護者は「1歳4月で預けたい」のに、それを叶えるために、0歳で預けなければならない、というのは歪んでいませんか?区が「0歳の申し込みも増えているから0歳枠も増やさなければ」と言うのは、一時的なニーズに応えてはいても、本質的ではないと考えます。また、1歳児定員を本気で確保するには、私立園にとって、1歳児定員増加に協力しやすいインセンティブが必要ではないでしょうか。区は1歳児の不足を補うべく入園可能数の拡充を行っており、今後も急ぎ行う予定とのことですが、今述べた点について、考えを伺います。
次に、保育に関する情報提供のあり方について伺います。私は、世田谷区からの情報提供が、まだまだ足りていないと感じています。今回、多くのお問い合わせがありましたが、中には誤った情報、誤った解釈の上で、不安を感じているケースがありました。特に調整指数については、選考結果に影響するため、正しい情報共有がとても重要です。認可以外を全く想定していないケース、認可外の保育施設利用でも今は保育料補助が出ることを知らないケースもありました。ホームページも異常に分かりづらく、私も混乱しています。区民と直に接する職員の皆さんは本当に丁寧に対応してくださっていると思いますが、クレームを恐れ、伝えきれていない情報があるのではないでしょうか。
昨年末、保育所等の⼊園⾒通しに関する情報提供と実態把握のあり⽅に関する陳情が、趣旨採択されました。この趣旨採択を受けた対応が必要だと考えますが、区は今後、どのように改善していくか、伺います。
続いて、世田谷区の教育について質問します。
国では令和8年度末の次期学習指導要領改訂に向けた議論が行われており、これに合わせた「今後の世田谷区の教育のあり方」を検討していくことが議会に報告されました。この検討開始に向けて3点質問します。
一点目、現段階で、区が大切にする要素・方向性を伺います。学習指導要領改訂に向けた論点整理の中で示されている3つの視点は、世田谷区がこれまで大切にして取り組んできた内容と重なるように思います。これを世田谷区として言語化し、世田谷区の教育として分かりやすく周知する必要があるはずです、区の考えを伺います。
二点目、世田谷区の教育課程編成について、ぜひ、子どもの声を聞くプロセスを入れるべきと考えますが、区の考えを伺います。埼玉県戸田市では、昨年、2026年から2030年までの第5次戸田市教育振興計画策定に向けて、市立小中学校の児童生徒から意見を取り入れたと聞きました。「世田谷区子どもの権利条例」に基づき、令和9年4月に施行を目指す、いじめ防止対策の条例の考え方については、子どもの意見募集を来年度行う、と報告がありました。しかし、いじめの問題にとどまらず、子どもたちの意見を、大人が「きっとこうだろう」「大した意見は出てこないのでは」等と決めつけるのではなく、子どもたちに直接、広く聞いていただきたいです。聞き方や質問項目について大変な工夫が必要だとは思いますが、この点、努力いただきたく伺います。
三点目、国の示す「裁量的な時間」について伺います。学習指導要領改訂の中では、各学校に裁量を持たせ、子どもと教員、双方に余白を作り出すことが議論されています。各学校の独自色を出すことも可能になります。ただ、現場としては、活用の仕方や運用について、迷うことも想定されます。現場での混乱がないよう、特に初期段階では、教育委員会の支援が必要不可欠ではないででしょうか。また、学校間での好事例の共有が今後ますます大事になっていくことも予想します。教育委員会の学校への支援のあり方について、区の考えを伺います。
最後に、“ずっと、世田谷。”事業について伺います。
約3億という規模で行う居住支援の取り組みですが、現状の課題に対して最適な解決手段ではない、と考えます。我が会派の代表質問においてもこの施策の効果測定について問いましたが、私からも3点聞きます。
一点目、この事業は、区の課題を解決するための本質的な施策と言えるのか、区の考えを伺います。予算概要に示されている現状の課題は、この事業の対象となりうる我が家や友人家族など周りの状況を見ても、実際に起こっていると感じています。子どもが生まれる、子の成長に合わせ部屋の広さや数が必要になる、賃貸住宅で足音などの騒音問題が発生する、子の進学に伴い登下校の距離や安全性が心配になる、など様々なタイミング・理由で、住み替えが検討されています。区内では条件に合う物件が無く、区外への引っ越しに踏み切った家庭も少なくありません。
ただ、住宅取得で40万、賃貸住み替えで10万という金額の給付は、本質的な課題解決につながるのでしょうか。区長は、東京都のアフォーダブル住宅では、現時点で本区の住宅ニーズに十分に対応できる供給規模にはすぐには届かないとおっしゃっていましたが、区として、ファミリーに適した面積・間取りの区営住宅や、民間のファミリー向け物件の供給、空き家・空室の利活用は後回しとなっていることが理解できません。なぜ、対象区民へ給付を行うという取り組みを真っ先に選択したのか、質問します。
二点目、本事業の適用条件について伺います。百歩譲ってお金を配るというならば、子育て世帯に限定すべきと考えます。家族形成期の若者夫婦世帯も支援の対象とするならば、特に住み替え応援事業に関しては、賃貸物件の面積条件をさらに広げる、もしくは部屋数の条件を設けることを改めて検討すべきです。今の条件では2人暮らしの場合、30平米あれば条件クリアです。これは単なるバラマキに繋がりかねないと思います。子どもがいるからこそ、児童館や保育園・幼稚園、学校、様々な子育て支援、お祭りやイベントなど、地域と自然に関わる機会が多くなります。
一方で、二人世帯の場合は、子育て世帯と比べて地域と関わる機会が少なく、区が目的として掲げる「地域の活力維持・向上」につながりづらいのでは、と危惧しています。
来年度、品川区が、世田谷区と同様に実施を予定している子育て世帯向け住まいの支援では、【町会・自治会への加入】を助成条件としているようです。世田谷区も町会・自治会加入を条件とすべきです。地域への関心が薄い二人世帯が、引っ越すタイミングでたまたま使える補助があってラッキー!とならないような制度設計を求めます。
三点目、対象の限定や利用条件設定が不十分なまま支援に踏み切るのであれば、逆に子育て世帯がもっと広く、有効に活用できるような条件にすべきと考えますが、区の考えを問います。
たとえば、多世代近居・同居促進事業の「近居」とは、子育て世帯と親世帯がいずれも区内に居住するのみならず、「同一もしくは隣接する区立中学校区域内」または「住宅間の直線距離が3キロメートル以内」という条件があります。これを緩和し、もっと自由に区内住居を選べるようにすべきではないでしょうか。また、子育て世帯が養育する子どもについて、定住・住み替え応援では「未就学児」となっていますが、近居・同居と同じ「18歳未満の子」まで、範囲を拡大できないでしょうか。
さらに、品川区の住まい支援では子ども3人以上の多子世帯の場合は最大2万円の加算があるとのこと、子どもの人数が多い場合、二人暮らしより面積も部屋数も必要になり負担が大きいため、良い工夫と思います。
地域の活力維持・向上のため、もっと様々な状況の子育て世帯が広く・有効に活用できる内容とすべきと考え、伺います。
以上で、壇上からの質問を終わります。
◆子ども・若者部長答弁
私からは、保育待機児童に関し二点御答弁いたします。
初めに、今後の一歳の定員拡充の取組についてです。区では、令和六年度以降、待機児童が生じている一、二歳児の定員確保のための施設整備を進めてまいりましたが、入園申込者数が過去最大となった状況を踏まえ、一、二歳児を中心とした保育施設の整備を前倒しで進めることを決定し、議会へも御報告したところです。あわせて、既存の保育施設に対しては、令和八年度より、区の要請に基づき確保した一、二歳児の定員に対する欠員補償を、都の補助事業を活用し実施する予定です。議員御指摘のとおり、一歳児の定員を確保することで育児休業の延長を選択される保護者が増加することも想定されますので、新規施設の整備による一、二歳児の定員確保に努めるとともに、既存保育施設におけるスペース確保のための支援など、一歳児のさらなる定員確保に向けた取組を検討してまいります。
次に、保育に関する情報提供の在り方についてです。保育施設の利用に関する情報提供につきましては、保育の必要性の認定や選考基準のほか、認可外保育施設の利用料に対する補助など、複雑な制度を保護者の皆様に分かりやすく丁寧に説明するよう取り組んでおります。しかしながら、議員御指摘のとおり、きめ細やかな情報提供を求める声があることに加え、陳情に対する議会の御判断も踏まえ、保護者の皆様に必要な情報を届けることで、御家庭の状況に合った保育施設を適時適切に選択できるよう努めていく必要があると認識しております。区といたしましては、保護者の皆様にとって分かりやすいよう、ホームページは適宜見直すとともに、相談窓口である総合支所とも連携しながら、保護者に誤解が生じないよう、より一層丁寧な説明に努めてまいります。以上です。
◆学校教育部長答弁
私より、三点につき順次御答弁いたします。
世田谷区の教育について、まず、現段階で区が大切にする要素、方向性についてでございます。国が示している深い学びの実装、多様性の包摂、実現可能性の確保の三つの視点は、本区においても、せたがや探究的な学び、帰国外国人・児童生徒等、性的マイノリティーへの対応を含むインクルーシブ教育、働き方改革を推進する中で取り組んでまいりました。特に、各教科における探究的な学びを基礎とし、子どもたちが知識や経験を生かしながら課題解決を行い、新たな価値を創造するという学びの往還の考え方は、今後の検討においても大切な視点の一つと捉えております。このような学びをキャリア教育につなげ、その中で非認知能力を高め、子どもたちが生涯にわたって自分らしく学び、社会の担い手として判断して行動できるよう、学びに向かう力、人間性等の涵養も重要だと考えております。このことを整理し、世田谷区として分かりやすく言語化し、それを学校、保護者、地域で共有し、教育の質の向上に努めてまいります。
次に、検討過程における子どもの声を聴くプロセスについて御答弁いたします。今後の教育の方向性を検討するに当たりまして、世田谷区の子どもたちの実情を踏まえることが重要であると認識しております。現在の教育振興基本計画を策定するに当たりましては、小中学生の代表者がグループワークという形で、世田谷区の教育のよいところ、改善してほしいところをディスカッションし、提言としてまとめました。このような取組を参考にしながら、世田谷区子どもの権利条例などの趣旨に基づき、子どもの声を丁寧に聴くよう努めてまいります。
最後に、裁量的な時間における教育委員会としての学校への支援の在り方について御答弁いたします。裁量的な時間は、次期学習指導要領において検討されている仕組みであり、各学校の判断により、一部教科の標準授業時数を一定程度減じ、その分を他の教科等に充てたり、教員の研究、研修に充てる余白を創出したりすることを可能とするものです。この裁量的な時間の活用を、現場が混乱することなく教育の質の向上につなげていくためには、教育委員会が教育課程編成に当たっての基本的な方向性を明確にすることが重要であると考えております。裁量的な時間については、余白の創出や探究的な学びの充実を図る上で欠かせない重要な視点であると認識しており、区として基本的な考え方を示すことができるよう検討を重ねてまいります。
私からは以上でございます。
◆都市整備政策部長答弁
私からは、〝ずっと、世田谷。〟定住・住み替え応援事業についてお答えいたします。
まず、対象区民へ給付を行う取組を選択した理由についてです。本事業は、第四次住宅整備後期方針の策定を進める中で検討してきたものですが、足元で住宅価格の高騰が一段と進む中、地域の活力である子育て世帯などが生活拠点を定めるタイミングで、区内に住み続けるという選択を今すぐに後押しする必要があることから実施するものです。他方、議員お話しのファミリー向けの公営住宅の提供や、空き家等の利活用などについては、事業実施までに相応の時間を要する施策であるため、令和八年度から具体化に向けた検討を開始し、今後、ファミリー向け賃貸住宅の供給促進につなげ、住宅ストックの側面から住まいの課題解決を展開してまいります。
次に、適用世帯を子育て世帯に限定すべきということについてです。本事業は、第四次住宅整備後期方針における課題の一つ、子育て・家族形成期に適した住まい及び住環境づくりの推進に基づき検討した経緯を踏まえ、子育て世帯に加え、家族形成期に当たる若者夫婦世帯を対象としております。また、国の住生活基本計画で定める、健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の面積水準等を踏まえ、面積要件を設定しております。また、交付審査時に、地域活動への参加状況や今後の関わり方についての確認や、町会等の地域活動団体について周知啓発を行うとともに、事後のアンケートの実施を通じて実際の活動状況を確認するなどし、事業の趣旨に沿った活動につなげられるよう誘導してまいります。
最後に、子育て世帯がもっと広く活用できるようにすべきということについてです。子育ての孤立化防止を目的として実施している多世代近居・同居推進助成事業の近居の範囲については、都心部の中では広大な面積を有する世田谷区の特性も考慮し、日常的に容易に行き来できる距離として、住宅間の直線距離が三キロメートル以内等と定めており、事業趣旨を踏まえ、一定の合理性があるものと考えております。現状での見直しの予定はございません。また、定住応援・住み替え応援事業は、ゼロ歳から四歳児世代が転出超過傾向にあるなど、子どもの小学校入学前のタイミングで生活拠点を選択、形成する傾向がある点も踏まえ、未就学児を養育する子育て世帯を対象としたものです。議員お話しの対象範囲の拡大については、財政負担への影響も踏まえ、慎重に検討すべきと考えます。事業の見直しについては、事業効果を検証した上で、適宜適切に判断してまいります。
以上でございます。
◆答弁受けてのくろだ再質問
SNSでは、世田谷区で保育園に落ちたことが多数報告され、世田谷区を出ることを検討する方もいました。若者夫婦にずっと世田谷に住み続けてほしいと願うならば、まず保育待機児問題を解決すべきではないでしょうか。保育待機児対策と居住支援は、それぞれ別の所管なので、仕方ないのかなと思いつつも、区長は居住支援を喧伝する一方で、保育待機児の危機的状況についてはあまり触れられておらず、区の取組の全体像、一貫性について考える方はいないのかなと疑問に思っています。そもそも担当が違うなどということは区民にあまり関係なく、認可保育園に落ちた御家庭としては、入れる保育園がないのに、ずっと世田谷に住み続けてと言われたところで冗談にしか思えないでしょう。
世田谷区が子育て世帯への支援に本気で取り組むならば、今後このようなちぐはぐなことが起こらないようにしていただきたいです。子育て支援だけでなく、世田谷区の施策全般について、誰が全体を俯瞰し、誰が責任を持ち、誰がリードするのでしょうか、答弁を求めます。
◆区長答弁
くろだ議員の再質問にお答えします。
全体の視点については、私が責任を持って見ております。
まず、待機児童対策については、数年前までは、今回の事態までは予測できておりませんでした。待機児童ゼロということで、むしろ空き定員を抱える保育事業者をどう支えるかということが当面の対策として重要だという認識でございました。もちろん、待機児童は数年前から出始めてきておりまして、それに対する対策は打ってきていますけれども、今回非常に、過去最大という申込者というのが、様々複合的な要因で出てきているということですので、これに全力で解消に向けて取り組むのは、もちろんのことであります。しっかり待機児童解消に向けて指示をしていきたいし、指示をしておりますし、これからもやっていくことを明言したいと思います。
その上で、この〝ずっと、世田谷。〟の事業については、昨年一年かけて、五年、十年のスパンで見てきたものであります。人口動態において、既に三十代、四十代、議員の御質問にもあるように、子育て家庭の中で成長、あるいは就学の段階で引っ越しを考えるという中での選択で流出されるということが確認をされております。区の将来人口ということで区政の経営を考えると、二〇三三年のこの人口推計では、四十代及び十歳以下の世代が非常に少ない比率になっていくと計算されておりまして、この住宅価格の高騰がいつまで続くか、これは分かりませんけれども、この傾向が続いていく場合においては、持続可能な人口構成のための自治体経営上の課題が大きく出てくると。
これについては繰り返すまでもないと思いますけれども、子育て世代、若年夫婦の世帯が減少していくことによって、地域、学校、商店街、コミュニティーなどでこれを支えていく基盤が弱体化していくことを懸念しております。
今回の施策の政策効果について、どれだけの効果があるのかということでございますけれども、これはあくまでもエールであり、居住地を判断する際のきっかけづくりということを考えてきました。多世代近居・同居推進事業が既に始まっていまして、この金額も同様の金額、少し少ないですけれども、その金額を差し上げる、それで引っ越しの費用が全部賄えるなどではないと思いますけれども、利用された声としては、やはりきっかけになったという声があったということをヒントにくみ上げたものでございます。そして、議員御指摘の、アフォーダブル住宅、いわゆる低廉で良質で適正な家賃の、入りやすい、生活しやすい住宅の供給がどうなっているのかと。まさにそれこそ、本当に大きなテーマでございます。
今回の政策の中には、少しこれは時間をかけて準備しているということでありまして、これを放棄して、やらないということではなくて、一番重要だと思っておりますし、ファミリー向け物件がそもそもありません。部屋数が限られた物件が多くありますけれども、一部屋増やそうとすると、探しても探してもなかなかない。これは、やはりオーナーの方に、そのファミリー向けをちゃんと建てることで、これだけ有利になりますよというインセンティブを、これは都市経営上、都市整備部門と協議して、しっかりその制度設計をして効果を生んでいきたいと思います。そういう意味で、御指摘を受け止めながら推進していきます。
◆答弁受けてのくろだコメント
よろしくお願いします。ありがとうございます。
以上。
世田谷区立小中学校は、子どもたちが毎日通う学び舎であり、時に地域住民が活用する場であり、災害時には避難所にもなる大切な公共施設です。しかし、多くの学校は昭和四十年代から五十年代に建てられ、老朽化が進んでおり、現在区では年三校ペースでの改築を進めています。
世田谷区で学校の改築、建て替えを行う場合、仮設校舎を現在の校舎の近くに建てるスペースはほぼなく、居ながら改築、学校敷地内で学校を使いながら工事を行うこととなり、児童生徒に様々な不利益が生じる場合があります。実際に校庭機能が十分に確保されていないケースがあるなど、これまでも議会において学校改築に関わる課題が取り上げられています。
私が最近はっとしたのは、中学進学時が改築期間に当たる子の保護者が漏らした中学受験をさせようか迷うという一言です。中学校生活三年間がほぼ工事期間、新しい校舎を使うことなく卒業すると考えると、親としては悩みます。世田谷区だけでなく、都内ではどの学校も老朽化という課題に直面しています。
そんな中、渋谷区では、未来の学校プロジェクトとして、学校改築を契機とし、新たな教育ニーズや視点を踏まえた施設整備を進めています。先日視察した青山キャンパスは都有地である青山病院跡地約一万二千平方メートルを借りて、近隣三校が同時に使える仮設校舎、空調完備の大中小三つの体育館、テニスコート二面分、陸上トラックも備えた校庭があります。仮設校舎内、教室にはタブレットと教科書を並べても余裕のある従来より大きめの机を採用し、グループ学習、個別学習、調べもの、プレゼンテーションなど柔軟に活用できるラーニングコモンズという共用スペース、また、映像や音楽制作の最新機器、ハイスペックPC、3Dプリンター、レーザーカッターなど、ものづくりのための資材を完備した未来共創空間という教室も用意しています。特に未来共創空間は、東急株式会社とNPO法人が運営を共同受託し、毎日の探究的な学びの支援だけでなく、大学や企業と連携して、子どもたちの視野や価値観を広げる様々な取組が行われています。渋谷区が目指す未来の学校を新校舎に先駆けて体現した青山キャンパスを視察して、子どもたちの教育環境整備にかける渋谷区の熱量を実感しました。
翻って世田谷区は、学校改築が児童生徒に与える影響をどのように捉え対応しているのでしょうか。まず、不利益を払拭するような取組を行えないのか、伺います。
次に、改築中の指定校変更の要望にどう応えるのか、伺います。特に中学生の学校生活は三年間です。改築の影響を大きく受けやすいと考えます。改築校でもともと想定される学級数より一学級減ったという話も聞きました。中学受験を考えずとも、区内の別の学校へ指定校変更が可能ならば、安心できる御家庭もあるのではないでしょうか、伺います。
また、そもそも世田谷区は、改築を契機として、よりよい学校づくりに取り組めているのでしょうか。世田谷区の目指す教育を実現できる学校づくりが行えているのか、伺います。
続いて、マイナンバーカードについて伺います。
マイナカードは行政の現場にとどまらず、民間サービスでも、アプリ登録、コンサートチケット購入時など、本人確認が必要な様々な場面で活用が広がっています。しかし、世田谷区では、令和七年の更新ピークを経て、申請から交付まで四か月以上かかるなど、大変不便な状態です。待たずにスムーズに受け取れる体制づくりを基本としつつ、行政においても活用の幅を広げ、区民の利便性を高め、マイナカードを持つメリットを区民に感じていただきたいと考え質問します。
まず一点目、カード交付にまでにかかる時間の短縮を求めます。区からは、他会派の質問に対する答弁もありましたが、確定申告時期のe―Tax利用、大学入学共通テスト当日に持参する顔写真付身分証明書としての利用など、早く受け取りたいと焦るケースは多々あります。申請から交付までの時間を短縮し、スムーズに受け取れる体制づくりを求めます。
二点目、災害時の情報通信にマイナカードを活用すべきです。区は、令和八年度の主要事務事業に災害時の情報通信システム整備を挙げています。以前視察した石川県では、能登半島地震の際、被災者の情報を集め、各自治体と連携するためにマイナカードを活用したそうです。馳浩前県知事からは、マイナカード取得率を一〇〇%にしておくべきだとのお言葉も伺いました。避難所への入退室管理システムの検討が俎上に上がっていますが、マイナカード活用は検討されているのでしょうか。ぜひ活用いただきたいです。また、被災者生活再建システムについては、既にマイナカードを利用して罹災証明書発行申請が行えるそうですので、早急に運用体制を整えて活用いただきたいです。マイナカードさえ持っていれば災害時も安心という環境を整備すべきと考え伺います。
三点目、世田谷区では、現在マイナカードが子ども等医療証、ひとり親家庭等医療証として利用可能になっています。病院の診察券とマイナ保険証だけで受診可能になっているのです。しかし、まだこれがあまり知られておらず、先日もママ友たちに、子どものマイナカードは取得しても使う場面がない、マイナ保険証にしなくても資格確認書が送られてきたし、病院に行くときも医療証は別で持っていかなきゃいけない、申請してもなかなか受け取れないらしいし面倒だということを言われまして、じくじたる思いです。医療証として利用可能な医療機関、薬局がまだ限られているという状況も周知に影響していると考えますので、マイナカードが医療証として使える場所を増やし、区民への周知徹底をしていただくよう強く求めます。
四点目、東京都は東京アプリでのマイナカード連携で一万一千東京ポイントを付与するキャンペーンを実施しています。また、区もせたがやPayにおいてマイナカードを使った区民認証者へ五百ポイントを付与しています。しかし、東京ポイントの交換先にせたがやPayは含まれておらず、多くのポイントが区外消費に流れる可能性があります。区内消費の促進に向け、東京アプリとせたがやPayのポイント連携を早急に進めるべきと考えますが、区の見解を伺います。
最後に、最も身近な道路、地先道路整備について伺います。
砧地域は緑と水に恵まれた地域である一方、道路整備状況は不十分で、整備を進めていくべき地域です。中でも区民にとって最も身近な地先道路整備は、地域の防災性向上、交通環境改善のため重要と考えます。
先日、地元の方からは、抜け道となっている道路について、狭い道で交通量が多く、危険だと相談をいただきました。調べていくと、当該道路は地先道路整備計画に位置づけられている地先道路でした。ただ、計画に位置づけられていながらも、拡幅の気配はあまり感じられないまま、つい最近もこの道路沿いには新築住宅が建ち、マンションも建設中です。区からは、地権者が多く、拡幅には多くの方の協力と時間と費用がかかる、地区計画など地域の状況を踏まえ、優先順位をつけて事業を行っていると説明を受けました。また、拡幅により交通量増加も懸念され、安全面を考えると歩道の整備も必要ですが、地先道路の六メートル程度の幅員では十分な整備ができない可能性もあるとのことでした。ただ、この近辺で仮に火災が起こったら、消防活動が十分に行えるのかと考えると不安は残ります。
今述べたように地先道路の整備については様々な課題がありますが、我が会派の真鍋議員が過去の質疑で、法定外公共物を活用しながら実効性の高い計画とすべきと指摘しています。用地交渉についても、相手のあることとはいえ、工夫を重ねて取り組む必要があります。消防活動困難区域をなくし、安心安全なまちづくりのために地先道路整備事業を粘り強く、力強く進めていただきたいという思いを込めて、砧地域における現状の取組や今後の展望を伺います。
また、地先道路計画は一般に公開されておらず、地元の方から道路に関する相談があっても、区へ確認しないと当該道路の計画の有無が分かりません。道路整備事業を進めていく上では、計画の有無を周知するほうが協力を得やすいのではないか、公開すべきではないかと考えますが、区の考えを伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。
◆学校教育部長答弁
私からは、学校改築に係る課題につきまして、二点御答弁いたします。
まず、改築中の不利益を払拭する取組についてです。
学校改築期間中におきましては、校庭や特別教室の利用制限、工事車両の出入りや工事音などにより、児童生徒の学校生活や教育活動に一定の影響が生じるものと認識しております。区では、学校改築が児童生徒に及ぼす影響をできるだけ抑えるため、学び舎をはじめとした近隣校との連携や地域施設の活用、また、工事期間の短縮など、教育環境の維持に努めながら改築を進めているところです。
今後もICTの活用や学校内外の教育資源を積極的に活用することで、改築期間中に生じる教育活動のへの影響を最小限にできるよう、教育活動の質の維持向上と学びの機会の保障に努めてまいります。
次に、改築中の指定校変更の要望についてです。
指定校変更につきましては、あらかじめ定めている許可基準に基づき個別に判断しておりますけれども、学校改築は当該校の全ての児童生徒に生じる事情であることや受入れ側となる学校の事情や影響等も考慮する必要があることから、一律に認めることは難しいものと考えております。
今後とも、改築に伴う影響の軽減に引き続き取り組むとともに、指定校変更の申請がある場合には、それぞれの児童生徒の事情を丁寧に伺った上で、個々のケースに応じて適切に判断してまいります。
以上でございます。
◆教育政策・生涯学習部長答弁
私からは、学校の改築を契機としたよりよい学校づくりについて御答弁いたします。
区では令和七年六月に学校改築ガイドラインを改定し、地域や学校ごとの実情に応じた特色ある学校づくりを進めております。本ガイドラインでは、学校は子どもたちのための場であるという基本に立ち、構想段階から子ども自身の意見を適切に反映する機会を確保するとともに、保護者や地域住民の意見を丁寧に伺うなど、世田谷らしい参加型の計画づくりを着実に実践しております。これらの取組により、改築を契機としたよりよい教育環境の整備と魅力ある学校づくりに一定の成果が現われているものと認識しております。こうした成果を踏まえまして、今後も年三校の改築を着実に推進してまいります。
以上です。
◆地域行政部長
私からは二点、初めに、マイナンバーカードについて、交付までにかかる時間を短縮せよとの御質問にお答えいたします。
新たな体制構築には時間を要することから、早急に交付予約枠数を拡充するためには、現行体制において対策を取る必要がございます。区としましては、マイナンバーカードセンターの臨時窓口のさらなる拡充、くみん窓口・出張所の事務フロー等の見直しによる枠の拡充等により交付予約枠数を確保し、申請から交付までの時間短縮に努めているところでございます。来年は三茶しゃれなあどホール第四集会室シリウスを暫定利用しますが、令和九年度の電子証明書更新数の急増、令和十年度に予定されている次期カードへの対応、令和十四年度まで続く更新手続、今後の国の動向へ対応するため、専用窓口の拡充等を含め、適切に対応できる交付体制を構築してまいります。
次に、被災者生活再建システムでのマイナンバーカード活用についてでございます。
災害発生時にマイナポータルを活用し、罹災証明書の発行申請を可能とすることで、被災された方の負担軽減が図られ、特に大規模災害においては区の罹災証明書発行業務の迅速化に資するものと考えております。導入に向けましては、被害認定の方法、被災者生活再建システムとの連携、マニュアル整備などの課題を整理する必要があることから、今後、関係各部と具体的な検討を進めてまいります。
以上でございます。
◆危機管理部長
避難所への入退室管理システムにおけるマイナンバーカード活用についてお答えいたします。
現在、避難所入退室管理システムにつきましては、区公式LINEでの構築に向けまして、避難所運営訓練等での実証を進めております。御指摘のマイナンバーカードの活用につきましては、避難者情報入力削減のメリットがある一方、安全性や運用面、コスト面など課題もあり、併せまして、引き続きの検証を行い、導入に向けた検討を進めてまいります。
以上です。
◆子ども・若者部長
私からは、マイナンバーカードによる子ども等医療証、ひとり親家庭等医療証としての利用に関し御答弁いたします。
令和八年二月より、情報連携基盤接続に対応する医療機関等においては、マイナンバーカードによる子ども等医療費助成制度の受給資格確認が可能となりました。区内では三割程度の医療機関等において、マイナンバーカードによるオンライン資格確認が可能となっております。本年十月の子ども等医療証の一斉更新の際に、医療証に同封するしおりにオンライン資格確認についての御案内を表記するほか、X等のSNSも活用し、保護者等に向けた周知を行う予定です。
また、令和八年度も国及び東京都において、医療機関等における情報連携基盤接続に対応するためのシステム改修に係る費用助成を実施する予定であると伺っております。この支援事業の準備が整い次第、東京都より、東京都医師会等を通じ周知される運びとなります。区でも、医療機関等への支援について、東京都より周知についての依頼があり次第、区内の各医師会等へ周知の依頼を行ってまいります。
以上です。
◆経済産業部長
私からは、東京アプリとせたがやPayのポイント連携について御答弁いたします。
東京アプリとせたがやPayのポイント連携につきましては、現在、東京都が世田谷区をはじめ独自のデジタル地域通貨との連携を希望する自治体との調整を進めているところでございます。令和八年度、アプリ接続に係る開発や区市町村と連携したセキュリティー対策を講じた上で連携を開始するとしております。区では現在、東京アプリとせたがやPayの連携に向け、商店街振興組合連合会やベンダーとともに東京都との具体的な協議を進めており、ポイント連携を早期に実現できるよう引き続き取り組んでまいります。
以上です。
◆砧総合支所長
私からは、砧地域の地先道路について、二点御答弁いたします。
まず、地先道路の整備についてでございます。
砧地域の道路率は上昇傾向にあるものの、五地域の中でいまだ低く、防災性や交通環境の向上の観点から、地先道路整備は重要な課題だと認識しております。これまで、砧総合支所では、地先道路整備計画、地区計画、密集事業などにより、地先道路の整備を積み重ねてまいりました。また、赤道や畦畔といった法定外公共物につきましても、地権者の要望を受け、地先道路拡幅との土地交換等で有効活用するとともに、本年三月に決定した外環道東名ジャンクション周辺地区地区計画では、法定外公共物の位置も確認しながら区画道路を配置したところでございます。
今後につきましても、様々なまちづくりの手法を活用し、法定外公共物など、さらなる活用や土地利用の転換等を契機とした地先道路整備などに時期を逸することなく取り組み、災害に強く、安全で安心なまちの実現に尽力してまいります。
次に、地先道路整備計画の一般公開についてでございます。
総合支所では、平成八年に策定された地先道路整備方針に基づき、地域の現状や課題を踏まえた地先道路整備計画を作成し、地先道路の拡幅や交差点改良等に取り組んでまいりました。現在、地先道路整備方針は、今月末に改定予定のせたがや道づくりプランに統合されており、今後は当該プランの内容やまちづくりの現状等を踏まえ、地先道路整備計画も改定を予定しているところでございます。地先道路の配置を広くお示しすることは区民の方々の道路事業に対する理解促進などの観点から有効であると考えますので、今後、整備計画の検討に併せ、一般公開につきましても、各総合支所や道路所管など関係所管と検討してまいります。
私からは以上でございます。
◆くろだあいこ再質問
一点再質問します。
今、今後もICTの活用や学校内外の教育資源を積極的に活用といった御答弁をいただきました。渋谷区の未来共創空間のような取組は、形を変えて世田谷区でも取り入れることができるのではないかと考えます。教育総合センターが実施しているSTEAM教育講座やスポーツ振興財団が行う世田谷ジュニアアカデミー&カレッジなど、もともと区内には質の高い教育資源があります。また、せたがやCo―Labでは、これまでも様々な企業が主体となった出前授業などが行われています。こういった各所と連携をして、改築校に対して優先的に案内をし、改築の影響を受ける子どもたちが質の高い学びに触れる機会を増やせないでしょうか。近隣校との連携、地域施設の活用といった対応に加えて、一歩踏み込んだ対応を求めて伺います。
◆学校教育部長
再質問にお答えいたします。
議員おっしゃっていただいたとおり、STEAM教育講座や世田谷ジュニアアカデミー&カレッジなど、区では学校内外の教育資源を充実させているところでございます。実施した学校からは好意的な感想、これらをいただいているところでございます。こうした好事例につきましては、校長会や研修会など、様々な機会でそういった学校に周知を図ってまいりたいと思っております。
今後も子どもたちにとって学校改築による不利益が生じないよう、改築校のニーズに合わせまして、ICTの活用や学校内外の教育資源を積極的に活用することで、教育が充実するよう関係機関と連携してまいります。
以上でございます。
◆くろだあいこ答弁受けてのコメント
ありがとうございます。
御答弁の中で、改築校のニーズを把握して対応してくださるということが確認できました。よい事例があっても、知らないとなかなか学校からニーズが出てこないということが起こると思いますので、教育委員会から案内や紹介をして、丁寧に対応いただきたいと要望しまして、私の質問を終わります。
以上。