くろだあいこ
世田谷区議会での活動

質疑・答弁

令和7年 予算特別委員会

企画総務委員会所管
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世田谷区議会 令和7年 第1回定例会 くろだあいこ
予算特別委員会質疑【企画総務】

◆くろだあいこ質疑
 先日の一般質問では区職員の異動希望に関して取り上げましたが、引き続き世田谷区の人への投資について伺います。区職員の皆様は、区民の皆様への公共サービスの質を支える重要な存在であると私は考えます。今回、予算説明書の中でも人への投資について大きく取り上げられ、3,419万円、前年度比プラス3,086万円の予算がついていることを歓迎し、取り上げてまいります。
 少子高齢化が進む中、人手不足は、役所に限らず、様々な業種に影を落とす問題です。そんな中で、区役所職員の退職、特に若手の離職が多いという状況を伺っております。退職者が出て、すぐに人員が確保できなければ部署全体が疲弊していきます。異動を希望しても交代要員がおらず、異動が難しい場合もあります。新しく始まる子育て部分休暇に関しても、子育て当事者にとってはありがたい制度ですが、休暇取得者の業務は勝手になくなるわけではありません。業務を減らすか、分担するかしないと仕事は回りません。業務分担について不公平感が出ると、不満の矛先は休暇を取った人や制度へ向かいます。そうならないためにも、環境づくりは区に責任があります。負のスパイラルに陥らないよう、しっかりと採用をし続ける必要があると考えます。
 まずは採用について、先ほど他会派からの質疑もありましたが、特別区職員の採用選考においては、事務職採用でのSPIの利用のほか、福祉職、保健師などの専門職の採用試験において、教養試験、論文試験を廃止し、専門試験のみでの受験を可能とするなど、公務員試験を民間企業への就職・転職活動と並行して受けやすくする工夫が始まると聞きました。これは、申込者数の減少、最終合格倍率の低下など非常に採用が厳しい状況にあるためだと聞いておりますが、採用の厳しさ、具体的にどういった課題があるのか、例えば確保に苦慮する職種等はあるのか、伺います。

◆人事課長の答弁
 特別区の採用選考の応募倍率が著しく低下しているわけでございますけれども、特に技術系職員の採用が全般的に厳しい状況でございまして、令和6年度のⅠ類採用試験、春試験のほうですが、こちらにおきましては、造園職や建築職、電気職などにおきまして合格倍率が2倍を下回っている状況でございます。また、区で採用を行っている保育士、また、保育園調理等の採用選考におきましても応募者が大幅に減少してございまして、人材確保に苦慮しているところでございます。こうした状況の背景といたしまして、受験生の試験準備の負担が大きいことに加えまして、給与や処遇面で大幅な改善を図っている民間企業が増えていること、また、転職業界が盛況であることなども大きな要因になっていると考えております。
 区といたしましては、民間企業にはない区職員としてのやりがいや魅力などをいかに発信できるかが大きな課題の一つだと考えておりまして、世田谷区を就職先として選んでもらうことを主眼に戦略的な広報に取り組みまして、人材確保につなげてまいります。

◆くろだあいこ質疑
 採用は非常に厳しく、職種によっては特に苦労して採用していると分かりました。世田谷区を就職先として選んで来てくれた職員を大事に育成していくことが必要です。人材育成について伺います。
 まずは1on1について、総務部で試行されているということですが、私も会社員時代に1on1ミーティングをたくさんやりまして、上司側としても、部下側としても、慣れるまで非常に戸惑った記憶があります。今後の全庁展開に向けての感触や試行を踏まえて考慮すべきことなどがあればお伺いします。

◆人事課長の答弁
 お話しの1on1ミーティングにつきましては、職員の能力等の把握と育成、キャリアデザイン支援の一手法として導入を進めておりまして、昨年10月から総務部内で試行実施してございます。試行に当たりましては、外部講師と連携して、民間や他自治体での事例も参考にしながら、ワン・オン・ワンの意義や具体的な進め方に関する研修を用意しまして、聞き手となるメンターに必要な傾聴スキルや部下の自発的な行動を促すコミュニケーションスキルを学んだ上で実施いたしました。
 実践してみた感想としましては、定期的に1on1で話す場を設けることで、職員の健康状態や業務上の悩み事などを適宜確認するよい機会となった一方で、上司と部下の関係性が非常に重要でございまして、年度当初などは雑談から始めて、関係の構築に努めるなどの工夫が必要だと感じております。
 今後、メンター、メンティー双方にアンケートを行うとともに、フォローアップ研修なども実施して、全庁展開に向けての課題の洗い出しを行っていきたいと考えております。

◆くろだあいこ質疑
 導入時の研修はもちろんのこと、定期的に状況を把握していただくフォローアップはすごく大事だと思います。1on1が形骸化しないような運用をお願いします。続いて、予算化されるタレントマネジメントシステムについても伺います。

◆人事課長の答弁
 タレントマネジメントとは、職員の能力や個性等の人材情報を資源として捉えまして、採用や配置、育成に活用することで、職員と組織の最大のパフォーマンスを目指す人材マネジメント手法でございまして、来年度から人材情報を一元化するタレントマネジメントシステムの構築を進めてまいります。システムの構築に当たりましては段階的な運用を考えておりまして、まずは人事評価や自己申告書、意向調査など、現在紙媒体で行っております業務をデジタル化して業務の効率化を図りながら、それらの情報をシステムに蓄積して人材データベースを構築していく予定でございます。
 その上で、システムに一元化された情報の総合的な分析を行いながら、職員の育成にも活用して、人事配置上のミスマッチや離職の防止、職員のワークエンゲージメントの向上などを目指してまいります。

◆くろだあいこ質疑
 1on1やタレントマネジメントシステムの導入は、職員一人一人の能力、個性を理解した上で育成を強化するためのものであり、離職の防止にもつなげていく施策だとのことですが、改めて離職者を減らす取組は大事だと強調しておきます。
 お金をかけて力を入れて採用した方が様々な理由で辞めてしまうというのは非常にもったいないことだと思います。退職者の減少に向けて具体的な来年度の取組を伺います。

◆人事課長の答弁
 職員の退職理由は本人の体調不良や家庭の御事情など様々でございますが、その中でも転職を理由としたものが20代から30代を中心に増えていることから、職員が働き続けたいと思える組織づくりがとても重要でございます。今年度スタートいたしました提案型プロジェクトチームの取組は職員が興味、関心のある業務に挑戦する機会の一つでございまして、1月に実施されました特別区合同採用説明会での発表をPTメンバーが中心になって行いました。全参加者が約3,500人ほどおりまして、そのうち1,000人を超える方が世田谷区のブースを訪れるなど、大変有意義な取組となりました。PTメンバーによります五回にわたる発表の中で、自身の一日のスケジュールであったり、区の職員としてのやりがいを熱く語っていく機会に触れたことで、人事課としましても、区のPRしていく項目や若い世代が興味を持つ視点、働き続けるに当たって重視している点であったり、自身のキャリアアップに対する思い、こういった人材確保と人材育成・定着の両面から必要となるポイントを再認識したところでございます。
 来年度以降は、仮称ですが、おしごとライブラリやタレントマネジメントシステムの構築、運用など様々な取組をして進化させることで、引き続き将来の区を支える職員の確保、育成に努めてまいります。

◆くろだあいこ質疑
 ぜひ若手職員の価値観や思いを酌み取り、各取組を進めていただきたいです。
 今お話しにあった提案型プロジェクトチームについても伺います。
 私も会社員時代に、営業の部署に所属しながら社内公募に挑戦し、兼務で企画の仕事に参画した経験があります。他部署の方とのつながり、企画の業務の仕方など、兼務先で得た経験、人脈、スキルがその後の仕事でも大いに役立ちました。また、兼務先において、もともとの仕事、営業経験、スキルが生きる場面もあり、これまでの経験を肯定的に感じられ、仕事へのモチベーションが高まりました。
 ただ、主務の数字のプレッシャーや兼務にのめり込むあまり、労働時間が増えるなど、心身ともに負荷がかかった記憶も残っています。こういった経験から、提案型プロジェクトチームの取組を応援したいと思いますが、今後、続けていくに当たっては、今回の参加者、所属部署の皆様、プロジェクト主管部署の皆様など、多角的に率直な意見を拾っていただいた上で改善に結びつけてほしいと切に願います。3月末までの施策ですので、まだ終わる前ではありますが、現時点での参加者の声や今後検討していくことがありましたらお伺いします。

◆官民連携・行政手法改革担当課長の答弁
 昨年9月から提案型プロジェクトチーム制度を開始し、3月末までの予定で、主任以下の職員32名のメンバーが九プロジェクトチームで活動しております。途中、参加メンバーへ行ったアンケート結果では、自身の興味関心のあるプロジェクトにチャレンジしたい、職場外の職員とのつながりをつくりたいといった参加理由が多く見られ、本制度は意欲のある職員の挑戦機会を創出するとともに、庁内の人脈形成にも寄与していると考えてございます。また、週の勤務時間中における4時間以内と時間外勤務も週に4時間以内を可能とした活動時間については、ちょうどよいという回答が70%を超え、参加メンバーの心身に負荷をかけずに実施できていると捉えております。次年度は、短かった活動期間を延長するとともに、メンバーを主体とした企画、検討がより活性化するようメンバーに副係長までを対象とするなど、職員を送り出す本務職場の意見も確認しながら、メンバーが活動しやすい工夫を進め、人材育成の推進、庁内横断的な区政課題の解決によりつながる制度となるよう取り組んでまいります。

◆くろだあいこ質疑
 週4時間といった時間設定が足りているのかなという点は気になっていたのですが、皆様、満足し、心身に負荷もかかっていないということで、ひとまずほっとしました。また、答弁としてはいただいていないんですが、本務所属からのクレームも今のところないという話を本件の意見交換をさせていただいた際に伺いました。ぜひ終了後の率直な感想、意見を参加者だけでなく、皆様から拾い上げ、意欲ある職員が気兼ねすることなく活躍できる場を用意してほしいと願います。
 さて、職員の意欲というテーマで質疑をしてまいりましたが、続いて、女性管理職を増やす取組について伺います。
 区は来年度からの5年間を期間とする特定事業主行動計画において、女性管理職33%という高い目標を掲げ、具体的な対策をまとめています。しかし、この対策を行って本当に目標が達成できるのかと疑問に思っております。
 これまで議会でも女性管理職の少なさは度々指摘されていますが、ここで私が心配するのは、女性職員の中で管理職に上がりたいと望む方がどれほどいらっしゃるのかという点です。管理職を目指す方、目指したいが、家庭の事情などを考えて難しいと感じる方、現場での仕事に意欲を持っており、昇任希望がない方など、仕事に対する考え方は、女性に限らず、千差万別だと思います。当事者である職員の意向が置き去りにされているのではないかと思うのですが、これまでの区の女性管理職を増やすための取組を伺います。また、管理職を目指す方がどの程度いらっしゃるのか、女性職員の意向調査など行っているのでしょうか、伺います。

◆人事課長答弁
 区では、女性職員の昇任意欲を醸成させるためには様々なロールモデルに触れる機会が重要であると考えておりまして、令和4年度には女性部長によります女性が生き生きと働くことができる環境を考えるというものをテーマとしたセミナーを実施しまして、令和五年度にも仕事と育児の両立に取り組んできた管理職によりますワークショップを開催いたしました。さらに、今年度は、他自治体で政策企画部長を歴任された現役の女性管理職を講師にお招きしまして、昇任と親の介護をテーマとした講演を実施いたしました。
 こうしたセミナーや講演等での参加者アンケートでは、依然として昇任をちゅうちょする声がある一方で、昇任に対して前向きになれた、また、管理職も自分と同じように育児や介護に悩みながら工夫して乗り越えてきた姿に共感したといった前向きな意見もいただき、昇任に関する職員の声を把握しているところでございます。
 一方で、セミナー等の参加者以外の女性職員に対して昇任についての意識等を調査する機会はこれまでなかったことから、今後はそうした調査の実施につきまして検討してまいります。

◆くろだあいこ質疑
 当事者である女性職員の意向を詳しく確認することで、女性管理職を増やすために、まず何を行うべきなのか、明確化するはずです。現状把握が何より重要です。意向調査はぜひやってください。
 また、女性のみならず、男性職員についても、管理職の働き方を見て、生活スタイルと合わないから管理職にはなりたくないと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。人事課長にお願いしまして、管理職の勤務状況のデータを数名分見せていただいたのですが、ふだんほぼ残業しないけれども、繁忙期だけ超過勤務百時間超えの方、毎月五十時間前後の超過勤務がある方など部署や人によるようですが、それなりに超過勤務があるように感じました。仕事にやりがいを感じて時間を忘れる、業務の都合上、終わらないなど様々意向や事情があるとは思いますが、価値観が変わっている昨今、改善が必要な部分もあると考えます。管理職の働き方改革、長時間労働の是正等は行っていくべきだと考えますが、区の見解はいかがでしょうか。

◆職員厚生課長の答弁
 長時間労働等により、過重労働となった職員がいる職場に対しては、総務部より各所属長へ通知し、所属長が該当職員へヒアリングを行い、健康状態やストレス状態を確認し、産業医の面接指導等につなげております。一方で、管理職についても、繁忙期や業務の都合上などにより、通常の勤務時間を超過することが多い部署もあると認識しております。
 管理職自身の健康管理も大変重要であり、現在も上司がシステムなどを通じて勤務時間を把握し、必要に応じて助言などを行うことに加え、時差勤務や在宅勤務の活用など、柔軟な働き方を推進し、管理職の過重労働防止にも取り組んでおります。
 こうした取組に加え、今後は管理職についても、一般職員と同様に時間外労働が一定の水準に達するような場合に、総務部から上長に通知する仕組みについて検討するなど、全ての職員がより健康的に生き生きと働くことができる職場環境の整備に引き続き努めまいります。

◆くろだあいこ質疑
 議員として相対することの多い管理職の超過勤務の状況は気になっておりました。この予算特別委員会においても、終了時刻は全て18時以降、正規の退勤時刻は17時15分とのことですので、管理職だけでなく、議会事務局など多くの職員の皆様の時間外勤務にこの委員会は支えられております。品川区議会では、子育て中の議員や理事者に配慮し、昨年の決特から試行的に開始時刻を30分繰り上げて、終了時刻を早める取組を行っているそうです。こういった取組は議会側で議論することではありますが、ぜひ区としても管理職の働き方改革について考えていただき、管理職に上がりたくない理由が時間外労働のせいとならないよう、環境整備を行っていただきたいと思います。
 続きまして、区のDXの取組について伺います。
 2月の特別委員会にてDX推進にかかる取組状況について説明がありました。今年度、世田谷区は自治体情報システムの標準化を乗り越え、庁内情報化基盤の構築は完了、生成AIは早々に活用しております。ただ、区民やあまり詳しくない方にとっては、DXといっても、便利になっているのか、いないのか、よく分かりません。成果の見える化をさらに進めていただきたいのですが、いかがでしょうか。

◆DX推進担当課長の答弁
 区ではDXの取組の成果を区民の皆様に分かりやすくお知らせしていくため、昨年8月からDXの取組みの見える化ホームページの公開を始めました。手続オンライン化や業務効率化の進展など、現在4つの指標を数値化してお示ししているところですが、今後コンテンツをさらに充実させていきたいと考えております。現在これらのコンテンツは区職員が作成しておりますが、今後は広報に精通した専門人材の助力を得ていきたいと考えています。来年度から東京都が設立した財団法人GoVTech東京のGoVTech東京パートナーズ制度を活用し、民間企業の広報部門を担当している副業人材を紹介いただき、その人材との協働の下に、コンテンツの質及び量の充実、掲載のスピードアップ及び区職員のノウハウ育成も図っていく予定です。既に財団側と具体的な調整を進めておりますが、こうした外部人材の積極的な活用及び庁内の業務所管課との連携も強化し、区民に実感いただけるような数値でお示しできる指標の公開を充実させていくことで、DXの成果の見える化をさらに加速化させてまいります。

◆くろだあいこ質疑
 GoVTech東京の人材派遣、以前から期待しておりましたので、都との具体的な調整にも入っているとのこと、成果の見える化が進むようによろしくお願いします。
 また、区民としては、オンライン手続が使えるようになったというように、自分自身が使ってみることでDXを実感できるのだと思います。昨年、熱中症対策のお休み処マップをBIツールで内製していました。こういった成果物は分かりやすく、区の職員がBIツールを活用して効率よく作成したということもよい取組だと感じましたが、実際どれぐらい使われていたのでしょうかと委員会で伺いますと、何とアクセス数を取っていないといったお答えでした。施策の評価や今後の展開を考えるに当たっても、データは非常に重要です。DXの取組の効果検証について区の見解を伺います。

◆DX推進担当課長の答弁
 委員お話しのとおり、DXの取組により導入した新たなサービスなどが実際にどのように利用されているか、把握することは、施策の効果を検証し、次のアクションにつなげるためにも大変重要であると認識しております。現在においても、手続オンライン化の取組についてはオンラインカバー率の向上だけでなく、利用率も測定し、ホームページに掲載しております。また、生成AI活用の効果測定についても、業務を効率化できた時間などの職員アンケートを実施し、効果を確認しています。サービスの内容によっては、システムログなどの統計を取りにくいものもありますが、効果検証の重要性を庁内にも示すことで、各部署が自らの取組の効果を検証し、PDCAサイクルを回してサービス改善をできるように努めてまいります。
 今後も区民の皆様にとって有益な施策を実施し、その効果を検証しながら、よりよいよいサービス提供を目指してまいります。

◆くろだあいこ質疑
 やってみた、やっただけ、やりっ放しとならないように、最低限のデータの取得、効果検証も踏まえた施策の計画をお願いします。
 また、DXの取組については、各部署での事例も積み重なりつつある状態だと思います。お隣の大田区では、DX成果報告会を実施し、エントリー十三課の中から子育て支援課の施設検索サービスが区長自ら選んだ区長賞に輝いたそうです。世田谷区においても報告会などを実施して、各部署の取組や成果、各部署の職員の実感を共有し合い、横展開していくことはできないでしょうか。各部署での成果の見える化を行うことで、全体への波及効果があると考えますが、区の見解を伺います。

◆DX推進担当課長の答弁
 区では庁内のDX推進に関する事例やそれに携わった職員の頑張りを紹介し、職員の啓発を図ることを目的として、読んだ職員に自分もやってみたいと感じてもらえることをコンセプトとした庁内広報紙DXマガジンを令和四年度から発行しており、紹介記事の掲載により、生成AIの利用数の増加やBIツール利用の横展開につながるなど、庁内のDXの広がりに一定の役割を果たしてきたと考えております。
 一方、御紹介いただいた大田区のイベントや東京都が開催している区市町村DXアワードのように、DXの良事例について、紹介、表彰等を行う取組は、職員のモチベーションの向上や事例の横展開の契機となるなどの面で大変有意義なものであり、類似の取組は幾つかの自治体において行われているものと認識しています。
 区としましては、今後、区がこれまで実施してきた取組に加え、さらに、区職員の意欲を高め、DXを加速させていくための仕組みや取組についてどのようなことであれば効果的に実施できるのか、他自治体における全庁的なDX推進の機運醸成に関する取組を参考にしながら検討してまいります。

◆くろだあいこ質疑
 今お話しいただいたDXマガジンについて、生成AI、Hidekiの活用方法や様々な部署での活用方法について特集した号を私もお願いして拝見させていただきましたが、DX課だけでなく、ほかの部署でも生成AIを主体的に活用し、使いこなしている様子がうかがえました。啓発やDX推進の機運醸成に貢献するものだと感じました。アワード、表彰等は、ぜひ全庁的に各部署を巻き込んだ形を検討いただきたいと要望します。
 また、私の個人的な見解ですが、DX課はこんなに頑張っているんだ、活躍しているんだということをもっと松村副区長が発信してもいいのではないかと思います。ぜひお願いしたいと思います。
 最後に、官民連携提案窓口、せたがやCo―Labについてお伺いします。
 令和6年度の実績について、二月の常任委員会で報告がありましたが、取組の数が年々増え、新規対話団体も着実に増加しており、窓口がしっかりと機能している様子が分かりました。
 ただ、官民連携の取組内容を見ていくと、区政への影響の大きさや連携の深さはまちまちで、差があるように思われました。せたがやCo―Labの取組状況について、区としてはどのように認識、評価しているのでしょうか。また、さらによいものとしていくために今後どのように展開していくか、お伺いします。

◆官民連携・行政手法改革担当課長の答弁
 区では平成29年度に官民連携提案窓口、せたがやCo―Labを設置して以降、今年度は前年度比27件増の119件など、連携事例が年々増加しております。庁内での官民連携に関する認識が徐々に進んでいること、企業の提案を広く受け付けてきたことの成果と受け止めております。
 今後は、イベントの開催等、単発の連携のみの企業ともさらに連携を深めるための対話を重ね、関係を築きながら、庁内に向けては各職場で課題解決の手法の一つとして官民連携の具体的な事例や事務の流れを発信し、意識醸成をさらに進めていく必要があると考えております。
 また、次年度は、区が一部経費を負担しながら行う新たな実証実験制度を活用し、各所管課がよりチャレンジングな提案を迅速に実践できる環境を整備するとともに、ホームページの改善等により提案者からのアクセシビリティーを向上させ、地域課題の解決に向けて最適な実施手法を選択できるよう引き続き取り組んでまいります。

◆くろだあいこ質疑
 次年度から始まる実証実験制度は、せたがやCo―Labを通して、企業、団体としっかりと連携し、区政課題に対してより大きく影響をもたらす取組へつながるものだと期待しております。
 以上で私からの質疑を終わり、畠山委員に交代します。

世田谷区議会 令和7年 第1回定例会 くろだあいこ
予算特別委員会質疑【福祉保健】

◆くろだあいこ質疑
 自由民主党世田谷区議団の質疑を始めます。
 初めに、救急医療に関して質疑を行っていきます。先日の総括質疑において我が会派の石川ナオミ委員が取り上げた烏山診療所について、まずお伺いいたします。
 世田谷区の一次救急医療機関として、夜間休日診療を行っている烏山診療所は、狭く、換気が悪く、動線分離ができないといった問題があるため、患者数が急増した場合は二階の会議室を区として提供しています。石川委員からの質疑に対し、4月からはウェブ予約システムを導入し、診療所内での待ち時間を減らす対策を取るほか、特に体調の優れない方がエレベーターを利用できるように、利用方法の周知をしっかりと行うといった答弁もありました。さらに、今後については近隣の賃貸物件も含めた検討など、医師会や地域医療機関と連携を取って取り組んでいくといった答弁でした。
 お答えの中で、サージキャパシティーの確保という視点が不足していたように感じておりまして、先日の企画総務質疑にて畠山委員より危機管理の面から問うていますが、改めて福祉保健所管に対して伺います。
 コロナだけでなく、昨年末のインフルエンザ大流行など、感染爆発は繰り返すものであり、事態が起こる時期の想定も難しいものです。二次救急の逼迫を防ぎ、重症者が適切に医療にアクセスするためには、多数の感染症患者に対応する一次救急能力が必要となります。烏山診療所について、今後の整備を検討していくに当たり、通常時に必要な機能だけでなく、患者の急増に合わせた拡張性やバリアフリーな動線、救急車両のアクセスといった視点も踏まえて計画をしていただきたいと思いますが、区の見解はいかがでしょうか。

◆保健医療福祉推進課長の答弁
 昨年12月26日に、5年ぶりに都内のインフルエンザ流行警報が発出され、多くの医療機関が休業となる年末年始には、区内3か所の休日夜間診療所において多くの患者が殺到いたしました。烏山診療所では12月29日から1月5日の8日間において、過去最高の624人の患者が来院いたしましたが、換気状態が悪い、診察室や待合室が狭い、院内のゾーニングが困難など、施設面で課題を抱えているため、これ以上の患者受入れは難しい状況です。
 今後、さらなる感染症の感染拡大に対応できるようにするため、委員の御指摘も踏まえ、移転も視野に入れ、施設の拡張や附帯設備の改善、初期救急では対応できない場合に依頼する救急車両の進入経路の条件など、世田谷区医師会と協議し、初期救急医療に必要な環境整備の改善に向けて取り組んでまいります。

◆くろだあいこ質疑
 患者さん対応に当たる医師会の皆様との協議が非常に重要と思いますので、しっかりと御意見を受け止めて、お取り組みいただくよう要望します。
 もう一点、うめとぴあの医師会診療所についても伺います。年末のインフルエンザ大流行時、医師会診療所においても200人を超える来院で、診察まで1、2時間待ち、処方会計まで2、3時間待ちと大変な状況だったと伺いました。医師会側でマンパワーを動員してくださり、何とか受入れ制限をせずに乗り切ったということですが、さらなる感染症が拡大したときに対応できる保障はありません。医師会診療所で患者数が急増した場合の対応について区の見解を伺います。

◆保健医療福祉推進課長の答弁
 梅ヶ丘駅近くの初期救急診療所においても、今冬の年末年始は季節性インフルエンザの流行期と重なったため、予約の電話が鳴りやまず、一日250人を超える多くの患者が来院しました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大期には患者が待合室に入り切らず、診療所の外で長時間待つ状況が生じるなど、受入れ体制に課題がありました。このため、保健医療福祉総合プラザ内のロビーの一部を待合室として拡充することや、診療業務の効率化のための診療支援システムを導入するなど、受入れ体制の強化に努めています。また、今年度より隣接する休日夜間薬局間と連携し、患者の同意を条件に問診情報を共有することで、薬局においても患者の待ち時間の短縮化を図る取組を始めております。
 しかし、委員お話しのとおり、感染症の流行が生じた際には想定を超える患者が集中し、夜間、休日の救急診療所だけでは受け入れられないほどの患者が殺到する事態も想定されます。感染拡大期における医療需要の急激な増加に対応するため、初期救急事業の体制増や、休日当番医事業の拡大を機動的に実施するだけでなく、両医師会をはじめとする医療機関と連携を深め、区全体で医療提供体制の充実に努めてまいります。

◆くろだあいこ質疑
 福祉保健所管としても現状の認識があり、世田谷区内の両医師会をはじめとする医療関係機関とともに医療提供体制の充実に努めてくださるとのこと。引き続きぜひお願いいたします。
 さらに伺います。感染症拡大時には人々の命に関わる二次救急、三次救急を医療崩壊から守るために、地域の一次救急医療機関がどれだけ持ちこたえられるかが鍵となります。コロナ対策の場合は診療所と切り分けてPCR検査センターを設置するという対策で、まずは空き家となっていた旧医師会館を活用して設置、次に、八幡山にコンテナ型で設置、そして上北沢へはプレハブを建設しました。しかし、コンテナ設置までは半年、プレハブ建設までは二年という時間がかかっています。畠山委員からも、旧医師会館がたまたま空いていて、すぐにPCR検査センターを設置できたのは奇跡だという医師会の先生のお言葉を紹介していましたが、今、もしコロナのような感染症が蔓延し始めた場合に、奇跡がもう一度起こるのかは不安なところです。
 仮に今、感染症の大流行が起こり、一次救急医療機関だけでは医療提供体制が追いつかない場合、区はどういった対応を行うのでしょうか。福祉保健所管からの見解をお伺いします。

◆世田谷保健所副参事の答弁
 区では令和2年1月に国内初の新型コロナウイルス感染症の患者が確認されて以降、地区医師会の迅速な対応と御協力の下、旧世田谷区保健センター跡地にPCR検査センターを速やかに開設するなど、総力を挙げて対応してまいりました。この間のコロナ対応の教訓を踏まえ、令和六年三月に策定した世田谷区感染症予防計画においては、区は新興感染症発生時に東京都と連携し、区施設や都施設のうち、検体採取の会場として適切な立地、設備を備える施設を活用して検体採取体制を構築することとしております。
 また、現在、危機管理部にて、災害など有事の際にコンテナハウスを避難所等として活用する、いわゆるレスキューホテル事業の運営事業者との災害時協定の締結を進めておりまして、当該コンテナハウスも一つの検討要素としております。
 今後の新興感染症対応の際は、区の感染症予防計画に基づき、まずは東京都や地区医師会と連携して検査体制を整備するとともに、新興感染症の広がりに応じてさらなる検査体制の拡充が必要と判断された場合は、新たな協定締結業者との連携も含め、迅速かつ的確な検査体制の構築を図ってまいります。

◆くろだあいこ答弁
 東京都の計画や、そのタイミングでの区有地、施設の状況、感染症の性質など、先回りして完璧な対策をするというのは難しいと理解していますが、両医師会の皆様との連携は通常時から密接に行っていただき、いざというときに機動的な対応が可能となるように、医師会の要望も踏まえた備えを、ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、民間救急の活用の可能性について伺います。民間救急事業者は119番で呼ぶ救急車と異なり、日常的に高齢者、障害者の施設送迎や病院間搬送など行っており、看護師を配置する業者もあります。コロナ禍では緊急を要しない患者を民間事業者が病院まで搬送するなど、民間救急を活用した事例もありますが、最近でもインフルエンザの大流行時など、救急車が逼迫する事態は度々起こっています。
 世田谷区では、これまで民間救急事業者とどのような連携を取っていたのでしょうか。今後、何らかの感染症拡大時に大勢の患者を搬送しなければならない事態が起こった際に向けた連携状況、協力体制についてお伺いします。

◆世田谷保健所副参事の答弁
 区では、新型コロナウイルス感染症流行時における入院調整後の患者移送について、民間救急事業者への委託を活用して対応してまいりました。また、公益財団法人日本財団が災害支援活動として実施した、軽症者の移送を無償で実施する事業を、令和2年12月から令和4年3月末の事業終了まで活用するなど、様々な事業者や団体との連携を最大限に活用し、コロナ禍に急増した患者搬送ニーズに対応してまいりました。
 世田谷区感染症予防計画においては、二類感染症患者の移送については、東京都と連携して患者等搬送事業者、いわゆる民間救急事業者等の活用を図るなど、疾患状況に応じた迅速かつ適切な移送手段を講じることとしております。今後の新興・再興感染症流行時には、コロナ禍での対応と同様に、民間救急事業者への委託等を活用して患者搬送体制を確保する想定ですが、有事の際に適時適切に患者搬送手段を確保できるよう、関係所属と連携し、民間救急事業者等との平時からの連携強化に向けた取組を検討してまいります。

◆くろだあいこ質疑
 有事の際の対応について今回お伺いしましたが、平時からも救急車逼迫は度々問題となっておりますので、連携強化について、保健所の健康危機管理部門だけでなく、区の救急医療を所管する部門も関わっていただき、東京消防庁とも接点を持ち、考えていただければと思います。
 続いて、妊婦向けRSウイルスワクチン接種費用の助成ができないか伺います。RSウイルスは一般的なウイルスで、二歳までにほぼ全ての子どもが感染すると言われています。風邪のような症状が特徴ですが、気管支炎や肺炎を引き起こすことがあり、特に生後間もない赤ちゃんが感染すると重症化しやすく、新生児にとっては怖いウイルスです。保育園や幼稚園ではやることもよくあり、兄弟児のいる御家庭では、お兄ちゃん、お姉ちゃんから新生児にうつらないよう気をつけなければなりません。
 感染予防は手洗い、マスクの着用、使ったおもちゃの消毒等が基本となりますが、最近では赤ちゃんと同じく重症化しやすいと言われる高齢者向けのワクチンと妊婦向けワクチンが打てるようになりました。妊婦が打つと胎盤を通じて赤ちゃんに抗体がつき、生後六か月までの特に重症化しやすい時期を守ることができます。しかし、現在は任意接種のため、接種費用は三万円台と非常に高額です。妊娠、出産の時期は産科への通院で、まずお金がかかります。健診受診票があっても持ち出しが発生します。正常分娩での出産費用は皆様御承知のとおり、東京都の平均が六十二万五千三百七十二円、出産育児一時金五十万円を超える金額です。赤ちゃんを迎える準備も大変必要になりまして、こういった時期に三万円台のワクチン接種、打っても打たなくてもいい任意の予防接種と聞くと、赤ちゃんのためとはいえ、妊娠中のワクチン接種を不安に思う気持ちも合わさり、接種に踏み切れないという方もいらっしゃいます。
 この妊婦向けRSウイルスワクチンの接種負担軽減について、静岡県袋井市では一万五千円、栃木県足利市では一万六千五百円の助成を決定しています。国でも定期接種化について審議がされていく見込みです。定期接種となるまで区が費用助成を行うことはできないものでしょうか。区の見解を伺います。

◆感染症対策課長の答弁
 RSウイルス感染症は、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症で、症状は発熱、鼻汁等の軽い風邪のような症状から、重い肺炎まで様々です。感染経路は接触感染と飛沫感染であり、生涯に何度も感染と発病を繰り返します。
 感染症発生動向調査の報告では、主に小児科から報告されるため乳幼児が多く、おおむね二歳までにほぼ100%が罹患すると言われています。特に生後6か月未満から1歳未満の年代で入院の発生が多く、1歳未満においては入院患者の約1割は人工呼吸器の使用が必要という報告もあります。令和6年1月に母子免疫による新生児、乳児の感染予防を目的とするワクチンが薬事承認され、現在、国の審議会においても本ワクチンの定期接種化に関する検討がなされています。
 今後、費用助成に関しましては国や東京都の動向を注視してまいります。区といたしましては、ホームページ等で疾患に対する周知を検討いたします。

◆くろだあいこ質疑
 いきなり費用助成というのは難しいかなと思いながら聞いたんですけれども、次年度から世田谷区では出産・子育て応援給付金で妊娠時5万円、出産時5万円の給付、さらに都施策として、赤ちゃんファーストギフト10万円分、せたがや子育て利用券1万円分といった形で妊娠・出産期の支援を行う予定です。さらに、国は正常分娩の保険適用について検討中。都は本年10月から無痛分娩に最大10万円の助成を行う予定ということで、妊娠・出産期の支援は手厚くなっていくところではありますが、やはりその中で3万円を超える予防接種を打つというのは、躊躇する妊婦さんが多いと思います。費用助成については、せめて家庭内にウイルスが持ち込まれるリスクの高い第二子以降の出産予定の妊婦さんだけでも検討いただきたいと思います。
 また、RSウイルスの特徴、生後間もない赤ちゃんにとっては危険であること、兄弟児が園からもらってくることがあるということや、妊娠中のワクチン接種で予防ができるようになったことなど、新しいワクチンということもありますので、周知啓発もぜひ併せてお願いいたします。
 次に、保育人材の確保について伺います。保育人材、保育士の確保は、世田谷区が大切にする保育の質を維持するために非常に重要です。しかし、さきの企画総務の質疑で人事課から答弁いただいたとおり、世田谷区の採用選考においても保育士の応募者は大幅に減少しているということでした。
 なぜ保育士が不足しているのかということですが、保育士資格取得者を求める職場が増えているということは、まず挙げられるかと思います。保育士が働ける場所は保育園に限らず、放課後等デイサービスや児童発達支援、児童養護施設、児童館や学童、ベビーシッターなど様々あります。どこも施設整備を進めており、高い需要もあります。しかし、保育士資格を取得できる養成校の出身者は増えていません。短大、四大ともに定員充足率は落ちており、定員を減らすのみならず、学部自体を閉じてしまうという学校もあります。短大や大学を出て保育士になるという方は、今後減少していく可能性が高いです。
 保育士資格取得にはもう一つ方法があります。国家試験です。養成校を出ていなくても国家試験を受けて合格すれば保育士資格が取得できます。保育士資格を持たない方でも保育に興味がある方はいらっしゃり、現在、保育補助といった形で保育園で働いている方もいらっしゃいます。こういった方に保育人材として活躍いただくということを国としても目指しており、平成27年に公表した保育士確保プランにおいても、保育士資格を取得しやすくするための取組や、保育士資格を有しない未就業者の就労支援などが挙げられています。
 これを受け、各自治体でも保育士資格取得支援事業を行っています。例えば品川区でも保育人材確保・育成支援事業補助金を交付し、保育士資格を持たない保育所等に勤務する保育士補助者の雇い上げ支援、資格取得支援の取組に対する補助など行っています。
 まずお伺いしたいのは、世田谷区でも同様の取組は行わないのでしょうか。東京都の補助事業、保育従事職員資格取得支援事業など、国や都の補助事業も活用し、人材確保に努めるべきと考えますが、区の見解を伺います。

◆保育課長の答弁
 委員ご指摘の保育従事職員資格取得支援事業につきましては、現に保育施設に勤務している保育補助者や、保育施設への勤務を予定している保育士資格未取得者が資格取得に当たり要した経費の一部を補助する制度となってございます。受験料や養成校の入学料や受講料などの費用の2分の1が補助対象となっており、最大で30万円程度を上限としております。
 本補助金は雇用する保育事業者への補助となることから、事業者による一部負担が生じることや、資格取得に要した経費や、資格取得後、一年間勤務実績があることの確認など、保育事業者に一定の負担が見込まれるものと考えております。また、東京都の社会福祉協議会で実施をしております保育士修学資金貸付制度がありますが、こちらは養成施設卒業後、五年間、保育所等で従事した場合に貸付金が全額免除されるものであり、個人に対しての貸付け制度となっております。
 委員ご指摘の資格取得に関する補助につきまして、これまで区内の保育所等から特に要望は上がっていない状況ではございますが、保育人材の確保が厳しい状況を踏まえ、資格取得に関する補助も含め、保育人材確保の対策について検討してまいります。

◆くろだあいこ質疑
 各私立園の状況も踏まえ、使いやすい制度となるよう、補助金の条件も確認いただきながら御検討いただくようお願いいたします。
 今、提案した補助金の活用は私立園に対するもので、自治体が設置する保育所には適用されないようですが、区立保育園においても福祉Ⅱ類の応募者数が減少し、人材確保に苦慮しているとのことです。区立保育園の保育士確保の取組について、これまでの状況、今後の展望についてお伺いします。

◆保育課長の答弁
 福祉Ⅱ類の職員採用選考の状況ですが、三年前と比較しますと受験者数が3割程度減少しているなど、厳しい状況にあると認識しております。そのため、今年度は例年7月に実施しております採用選考に加え、10月にも二次募集を実施し、人材の確保に努めてきたところでございます。
 また、区立保育園の魅力発信としまして、今年度は採用1年目から4年目の若手保育士が、区立保育園の魅力や仕事のやりがい、保育の楽しさなどを語っている様子を座談会形式で動画作成し、ホームページに掲載するなど、新たな取組も行っているところでございます。あわせて、区内大学等の養成校を訪問し、区立保育園の園長が保育園の魅力を紹介する取組も行っており、学生から寄せられた質問では保育内容に関することに加え、公務員試験に関することや福利厚生面など多岐にわたっており、就職先の検討の参考になったとの声も多くいただいております。
 一方で、この間、大学を訪問する中では、保育士を目指す学生が少なくなってきているという声も聞いており、子育て等を理由に保育の第一線を離れた潜在保育士の掘り起こしにつなげるため、特別区人事委員会へ経験者採用の導入等を人事所管に働きかけるなど、引き続き人事所管と連携、協力しながら、様々な手法により人材確保に取り組んでまいります。

◆くろだあいこ質疑
 現場の保育士の負担軽減、保育の質を高めるために人材確保は非常に重要です。今お話のあった潜在保育士の掘り起こしという話は、国でもずっと言われていることではありますが、初めに述べたとおり、保育士資格を持つ方に対する需要は保育園以外の施設や職種でもあるわけで、保育園では働いていないけれども、ほかの場所で働いているという方も潜在保育士としてカウントし、皮算用しているのではないかと私はにらんでおります。今の実態に合わせた取組となるよう今後も注視してまいります。
 私からは最後に、子どもの居場所フローターについて伺います。先日、子どもの居場所フローター活動報告会が開催され、私はオンラインで拝見をしておりました。フローターは児童館を飛び出して、地域の子どもたちの居場所との協力、連携、児童館以外の場所へ子どもたちを連れていくなど、地域の居場所と居場所をつなぐ役割を果たしているということが、活動報告からもよく伝わりました。
 本事業はモデル事業としての実施途上ですが、もし仮に今後、各地域の児童館に一名ずつ配置をするなら、何が課題となるのでしょうか。また、学校や民間事業者との連携について区の見解を伺います。

◆子ども・若者部副参事の答弁
 区では昨年4月から2年間のモデル事業として、子どもが自らのニーズに合わせて居場所を選択できる環境づくりや、居場所同士の連携を通じた質の向上を図るため、区内2か所の児童館に職員1名ずつの、子どもの居場所フローターを配置しています。現在はモデル事業であるため、本格実施となるかの判断はこれからとなりますが、御質問いただきましたとおり、各地域一名ずつのフローター配置を目指す場合、福祉Ⅱ類の採用選考の申込者数が年々減少している現状から、まず、児童館職員の確保が課題となります。
 さらには、フローターの役割を担うには、地域資源の把握、調査能力はもとより、子ども支援の専門知識、コミュニケーション能力等が高いレベルで求められるため、全国的にも事例がない中で、人材育成をどのように進めていくかの検討が必要となっております。
 一方で、子どもたちにあまり知られていない居場所への同行支援や、フリースクール、ほっとスクール、学習支援団体、学校などを集めた継続的な学習会の開催、近隣中学校への移動児童館事業等、これまでのフローターの活動実績から四者連携の一角を担い、子どもの専門機関と連携する児童館が地域、地区の中で子どもと居場所、居場所と居場所をつないでいくことで、子どもの居場所のさらなる充実を見込んでいるところです。

◆くろだあいこ質疑
 もし本格実施するならと、気が早い質疑をしてしまったのですが、私は活動報告を伺って、地域包括ケアの四者連携の中に児童館が加わった意義、児童館を区が運営しているという意義を非常に強く感じましたし、児童館が地域の子どもたちの居場所としていかに重要な場所であっても、児童館が地域の様々な方と連携を取っていろんな事業をやっていても、児童館につながっていない子は支援の網の目からこぼれ落ちてしまうのではないかというもどかしさが、このフローターという仕組みで解決する可能性を感じました。次年度はモデル事業の2年目となりますが、本格実施へつながるような取組を期待いたします。
 また、福祉Ⅱ類の応募者数減少は保育課だけでなく、児童課としても深刻な課題となっていると、改めて答弁の中から分かりました。児童館職員志望で入った方が保育園へ配属されるなどのミスマッチも起きていると聞いています。フローターのような先駆的な事業を行うことで、世田谷区の児童館で働きたいと希望してくださる方が増えないかと期待する部分はありつつも、採用時と配属のミスマッチが起こらないように、これは人事課マターともなるかとは思うんですが、関係所管で丁寧な連携をしていただけますよう要望して、私からの質疑を終え、山口委員に替わります。

世田谷区議会 令和7年 第1回定例会 くろだあいこ
予算特別委員会質疑【都市整備】

◆くろだあいこ質疑
 自由民主党世田谷区議団の質疑を始めます。
 まず、昨年の予算特別委員会でも取り上げました外環道東名ジャンクション周辺地区について伺います。
 平成21年の外環道事業化を契機とし、これまで長い時間をかけて地区計画を検討してきているところですが、まずは、改めて計画の概要とこれまでの経緯について伺います。

◆砧総合支所街づくり課長の答弁
 外環道東名ジャンクション周辺地区地区計画は、宇奈根・大蔵・喜多見地区をまたぐ約52.8ヘクタールの広い範囲が対象となっており、区域を6つに分け、各々の地域特性に合わせたまちづくりに関する規制や制限を検討してきております。また、全域が風致地区や土地区画整理事業を施行すべき区域となっており、緑が多く、ゆとりある住宅街ではあるものの、生活道路などの基盤が十分に整っていない地区でもあります。
 区では、平成22年度のまちづくり方針の策定段階から地区の課題と対応策について地域の方々と意見交換を行いながら、一つ一つ検討を積み重ねてまいりました。地区計画の素案におけるまちづくりのルールといたしましては、建蔽率や容積率、敷地面積の最低限度などを各区域で定め、地区施設として外環道事業者が整備する機能補償道路のほか、区画道路を12路線配置する予定です。このほか、東京都決定となる用途地域の変更や土地区画整理事業を施行すべき区域の変更なども行う予定としております。

◆くろだあいこ質疑
 今ご説明いただいたとおり、東名ジャンクション周辺地区の地区計画は、6つの区域に分けて、それぞれ少しずつ条件が異なる内容となっております。さらに、今回の地区計画で定める内容以外に、もともと係っているほかの条例等の制限も複雑に絡んでおり、詳しくない方にとっては自分の敷地にどんな影響があるのか、どんな建物なら建てられるのかということが非常に理解しづらくなっています。
 昨年は、約四年ぶりの地区計画の説明会ということで私も参加し、参加していた地域の皆様の御意見を踏まえ、説明内容が難しくて、建築関係者以外すんなり理解できるものではない、今後のまちづくりを進めていく上では、地域の方々に地区計画の内容を御理解いただき、協力をいただくことが非常に重要であると考えると指摘しました。
 今回、区域別に説明を行ったそうですが、参加者の反応はどうだったのか伺います。

◆砧総合支所街づくり課長の答弁
 昨年の予算特別委員会において、委員よりいただきましたご指摘も踏まえまして、先月、2月28日と3月1日に行った変更素案説明会では、これまでどおりの全体説明会に加え、区域別の説明会を実施し、延べ50名の方々が参加され、分かりやすく丁寧な説明に努めたところでございます。
 特に区域別の説明会では、参加者と区職員が同じテーブルにつき、建築ルールの詳細な説明を行うとともに、敷地面積や区画道路の沿道などの事例を示し、建築条件ごとに係るルールの違いが分かるよう説明方法に配慮いたしました。また、説明会後も千分の一の縮尺で作成した地区の模型を囲い個別対応等を行うなど、参加者との対話を大事にした説明が行われたと思っております。参加者からも、とても勉強になった早く地区計画を策定してほしいなどの声もいただいたことから、地区計画に関する理解が深まったものと考えております。

◆くろだあいこ質疑
 6区域ごとの説明は、区職員の皆様にとっても準備運営に非常なパワーを要したと思いますが、各住民ごとに適切に情報を得ることができたのではと思います。丁寧な御対応に感謝します。
 今回、変更素案説明会が終了し、これからはどのように進めていくのでしょうか。長きにわたる地区計画の検討の中で、区職員は都度、地域住民の声を聞いていますが、行政職員は数年で異動してしまうので、自分たちも伝えてきたことがちゃんと引き継がれるのか不安だという声も聞きました。確かに区職員にとっては数年間の仕事上での関わりですが住民にとっては何十年も住む自分の土地に関する制限です。こういった声も紹介した上で区の今後の取組について伺います。

◆砧総合支所街づくり課長の答弁
 今回の変更素案説明会での御意見も踏まえ、次年度は原案の説明会、公告、縦覧などの都市計画法に基づく手続を行い、おおむね計画策定までは一年程度を予定しております。同時に、東京都決定となる用途地域や土地区画整理事業を施行すべき区域の変更に向けた協議にも取り組んでまいります。
 検討期間が長かっただけに、これまでの経緯を的確に引き継ぐことが重要であり、そのためにも資料が分かりやすく整理されていることは大事だと考えております。今後、地区計画が策定され、具体的にルールが運用されるまでに、パンフレットや条例に基づく申請の資料、これまでの経緯等を住民、事業者、職員にも分かりやすいよう作成してまいります。
 また、これまで本地区計画の検討には数多くの職員が関わり、異動してきました。引き続き、総合支所といたしましては、地域住民との対応を重視し、過去の経緯をしっかりと学び丁寧に対応させていただくことで、地域住民の御理解と御協力をいただきながら、地区計画の目標実現に向け、まちづくりを推進してまいります。

◆くろだあいこ質疑
 これまで丁寧に各担当の皆様が地域住民の声を聞いてくださったことで、地区計画が出来上がっていると認識しています。今後も引き続き区民の皆様の声を聞き、まちづくりを前に進めていただければと思います。
 続きまして、都市計画道路について伺います。
 道路整備は自由民主党世田谷区議団として着実に前に進めていただきたいと、これまでずっと要望してきていることです。しかし、さきにお話しした地区計画と同様に、道路整備の過程においても制限を受ける区民がいるということは事実です。
 例えば都市計画道路の線が絡む土地では建築制限が長期にわたってかかり続けます。また、長期優良住宅、認定を受けると税制優遇が受けられる、資産価値の維持が期待できるなどメリットがありますが、都市計画道路の線が絡んでいると、その路線がこれまで未着手のまま取り残されていて、今後の事業化が見込めないのではと思われるような線だったとしても認定を受けることができません。
 都市計画道路の予定地の中で、概成道路は多少狭くとも既に道路として機能していることもあり、事業がなかなか動きません。また、現道がない区間は、地図を見ても住宅の真ん中に線を引いている状況で、素人考えではありますが、まるで夢物語のように見えます。
 都市計画道路は渋滞緩和といった面だけでなく、災害時の道路ネットワーク機能の拡充、延焼遮断機能、生活道路への通過交通を抑制するなど様々な役割が期待され、地域住民にとって必要な道路です。しかし、そうはいっても、実際に制限を受け続ける区民の中には、計画が動かないことへの不満が生まれるといった区民感情は当然ではないでしょうか。
 そこで、まず伺います。都市計画道路の整備方針については、都と区市町で協働して検討するとのことですが、区としてどのように関わっているのでしょうか。

◆道路計画課長の答弁
 東京都と特別区及び26市2町は、おおむね10年ごとに東京における都市計画道路の整備方針を策定し、都市計画道路の計画的、効率的な整備に取り組んでまいりました。現在は平成28年3月に策定した整備方針、第四次事業化計画に基づき道路整備を進めておりますが、計画期間が令和7年度末であるということから、新たな整備方針の策定に向けて検討を行っているところでございます。
 検討に当たりましては専門的な見地から助言を受けるため、学識経験者で構成する専門アドバイザー委員会が設置されるとともに、都と区市町が連携し、新たな整備方針を策定するため、部長級によります都区市町策定検討会議などが設定されております。この間、専門アドバイザー委員会が三回、都区市町策定検討会議が一回開催されておりまして、都と区市町で意見交換を行っているところでございます。

◆くろだあいこ質疑
 都市計画道路については、令和8年度からの新たな整備方針策定に向けた検討の中で、区としても都との意見交換を行っているとのお答えでした。世田谷区内において、概成道路を含む未着手の都市計画道路は54.3キロメートル、全体の37.8%を占めている状況と伺っております。
 区内の道路整備が十分でない現状において、広域的な交通処理や防災減災機能などを担う基本的なインフラとして、都市計画道路はしっかりと進めていかねばならず、引き続き早期に整備が必要な路線から優先整備路線に位置づけ、確実に事業着手に取り組んでいくことが何よりも重要と考えます。
 今後も、建築制限が長期化していくという課題に対し、都市計画道路としての整備の必要性がないものは不断の見直しを行うといったプロセスが大切です。新たな整備方針の策定に当たっては、長期未着手により影響を受けている区民の声も踏まえながら検討を進めるべきではないでしょうか。区の見解を伺います。

◆道路計画課長の答弁
 区内の都市計画道路につきましては、都区が計画的な整備に取り組んできた一方で、長い間事業化に至っていない路線も多く、その結果、建築制限が長期化していることが大きな課題であると区としても認識してございます。
 東京都と特別区及び26市2町は、社会経済情勢が変化し道路に対するニーズも多様化している中で、都市計画道路の検証を不断に行っていくことが大切であると考えてございます。このためこれまで整備方針の策定に当たりまして、都市計画道路ネットワークの検証を行うとともに、令和元年に策定した東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針におきましても、概成道路における拡幅整備の有効性などについて検証を行ってきたところでございます。
 都市計画道路は重要な都市基盤の一つでございますので、新たな整備方針の策定に当たりましても、都市計画道路の果たす役割や機能などを考慮した上で適切な検証が行われるよう、都と区市町で検討を行ってまいります。また、現行の整備方針の検討過程におきましては、中間まとめで考え方などを公表し、パブリックコメントにより広く区民などの意見を伺いながら検討が進められておりました。
 新たな整備方針の策定に当たりましても、幅広く区民意見の把握に努めながら、都と区市町で検討を行ってまいります。

◆くろだあいこ質疑
 適切な検証が非常に重要だと思います。整備に御協力いただくことで、長期間にわたり影響を受ける区民の声を踏まえつつ、概成道路についても例えば交差点など重要な部分は早く進める、歩車分離がされていて交差点が絡まない道路については制限を解除するなど、めり張りがついた第五次事業化計画となるようよろしくお願いいたします。
 続きまして、自転車の交通安全に関して伺ってまいります。
 世田谷区内令和6年の交通事故発生件数は1,808件、そのうち自転車関連事故は926件、事故全体の五割を超える数となっています。また、警視庁のデータによると、昨年の都内の自転車関与事故の半数以上が交差点、交差点付近で起こっています。交差点での事故の大半は安全不確認などを原因とする出会い頭の事故とのことで、一時停止など基本的な交通ルールの周知徹底は非常に重要です。
 ただし、車の運転をしない方は特に一時停止などの交通ルールをそもそも知らない、交通ルール遵守への意識が薄いようです。自転車は自動車のように免許制度がないため、自転車交通安全教室など自転車に乗る際に気をつけるべき交通ルールを周知啓発する取組は、自転車に乗る全ての区民にリーチすることが理想ですが、現実的には難しいということも理解しつつ、まずは子ども向けの自転車交通安全教室などの実施状況を伺います。

◆交通安全自転車課長の答弁
 現在区で取り組んでおります交通安全教室ですが、まず、区立保育園、幼稚園、私立幼稚園に希望調査を行い、希望する園に対し、交通安全教室などを実施しております。また、区立小学校では、学校主体で主に1年生向けの交通安全教室を行い、3年生向けとして自転車教室を実施しております。区立中学校は、3年間に1回のペースで、全校生徒を対象にプロのスタントマンによる事故再現型の体験型自転車教室を区として実施しております。
 区内にある都立高校、私立高校、国立高校に対しましては、体験型自転車教室または座学によるオンライン交通安全教室の選択制で実施希望の調査を行い、令和6年度につきましては、2校から体験型自転車教室の希望があり、実施しております。

◆くろだあいこ質疑
 区立小中に通う子どもたちに対してはリーチできていますが、私立中に進学する子も多く、区の自転車交通安全に関する取組が届かない層がいると分かりました。私立校は独自で指導に取り組んでいる場合もあり、区として関わりが難しいとは思いますが、学校での指導の充実について今後検討いただければと思います。
 次に、だっこひもの赤ちゃんを連れた自転車走行について取り上げます。
 だっこひもによって、おなか側、前だっこで赤ちゃんと一緒に自転車に乗ることは法令で禁止されていますが、日々町でよく見かける光景です。背中側、おんぶで乗ることは違反ではありません。自転車で転倒するときは背中の方に倒れ込むことはあまりなく、前側に倒れ込むことがほとんどであり、前だっこをしていると赤ちゃんが頭部を打ちつけてしまうことがあるそうです。各御家庭様々な事情があり、どうしても赤ちゃん連れで自転車に乗らなければということもあるかもしれませんが、前だっこだけはやめてほしい、危険性が本当に高いということを皆様に御認識いただきたいです。
 妊娠・出産時には区と面談のタイミングがありますので、所管と連携して保健師さんから話していただくなど周知啓発していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

◆交通安全自転車課長の答弁
 道路交通法では、だっこひもを使った前抱きによる自転車運転は禁止されております。こうしたことから、区では、妊娠・出産時の早期啓発として、区で発行しているせたがや子育て応援ブックに、自転車に乗るときに気をつけることとして、だっこ乗りの危険性、ヘルメットの必要性、交通ルールの重要性などについて掲載しており、妊娠届を提出した方へ、母子健康手帳の入った母と子の保健バックに同封する形で配布しております。
 また、幼児を連れてこられる機会の多い、児童館やおでかけひろばで、自転車の安全利用や交通ルールを記載した冊子を配布するとともに、希望する施設では、子乗せ自転車を使用した自転車教室を実施しております。今後も、庁内関係所管と連携して、妊娠・出産時における啓発に取り組んでまいります。

◆くろだあいこ質疑
 2021年11月には、世田谷区鎌田において、トラックと8か月の赤ちゃんを母親が前だっこした自転車が衝突し、母親を軽症、赤ちゃんは亡くなったという事故もありました。母と子の保健バック中のせたがや子育て応援ブックの中の記載ということで、記載がないよりましかなと思いますが、妊娠期には自転車に乗るということがまだ遠い未来で、興味なくスルーされているのではと感じています。
 児童館やおでかけひろばの利用者も限られます。可能であれば出産後、「せたがや0→1子育てエール」の面談時に保健師さんから一言触れていただくなど、より広く確実にリーチすべく、どうか関係所管との連携強化をお願いいたします。
 続いて、さらに確実に一時不停止などの交通ルールを徹底的に周知する取組について伺います。
 大田区は、昨年12月にトヨタ・モビリティ基金と連携し、自転車事故削減の取組を行っていくと発表しました。この取組は、信号のない交差点に設置したポールにカメラやセンサー、LEDディスプレーを取り付け、衝突の危険がある場合に、危険とディスプレーに表示して、交差点を通行する自転車や、車へ注意喚起を行って、事故の未然防止、一時停止を遵守した自転車に対してはありがとうといったポジティブメッセージを表示することで、一時停止ルールの定着化を図るそうです。
 一時停止ルールを知らない方、守らない方への周知徹底というのは非常に難しいなとこれまで常々考えてきたのですが、これは交差点を通る方に確実に伝わるすごい取組だと個人的には非常に興奮しました。まだ実証実験の効果が出る前なので、同様の取組をすぐに行うことはできないと思いますが、この大田区の事例を区でも取り組めないか、御検討いただけないか見解を伺います。

◆交通安全自転車課長の答弁
 お話しのありました、大田区の取組ですが、大田区が一般財団法人トヨタ・モビリティ基金と交通事故削減に向けた総合的な取組を行うことに合意し、令和6年12月から令和8年3月まで覚書を締結されたものです。大田区に確認したところ、現在、実証実験の準備を進めており、3月下旬から開始するとのことです。
 その実証実験の内容としては、支柱に取り付けたカメラやセンサーで、自転車や車の動きを感知し、LEDディスプレーなどを使って、自転車利用者に危険などの情報を表示するシステムを活用するものです。出会い頭の事故防止を目的に、事故件数や急ブレーキの発生状況などを基に選定した信号のない交差点一か所で、一時停止を遵守した自転車利用者に対してありがとうなどのポジティブなメッセージを表示すると伺っております。
 大田区では、この取組から一時停止ルールの定着効果に期待しているとのことで、技術と啓発の両面から実証を行い、今後の交通事故削減に向けた対策につなげていきたいとのことです。
 区といたしましては、自転車が関与する事故件数削減に向け、こうした隣接区での実証実験の取組についても、まずは実証実験の情報収集をしてまいります。

◆くろだあいこ質疑
 世田谷区でも、大田区の事故件数に負けず劣らず自転車事故が非常に多いため、ぜひ大田区にも情報共有いただいて、検討いただきたいなと思っております。私も一度見に行こうと思っております。
 次に、改正道路交通法について伺います。
 青切符の導入に関して、これまでほかの議員も取り上げていますが、私からは、特に昨年11月のながらスマホの罰則強化、酒気帯び運転及び幇助の罰則化について伺います。区内では、自転車を利用される方が多いこともあり、例えば飲みに行く機会があっても自転車で行くという方がまだまだいらっしゃるなと感じています。
 夜、お酒を提供するお店の前に自転車がたくさん停まっているといった光景もよく見まして、押して帰る可能性も高いかなとは思いますが、そこは分からないところなので、まだまだ周知が必要だと私は考えております。現在の周知方法と今後の取組について伺います。

◆交通安全自転車課長の答弁
 令和6年5月に改正道路交通法が成立し、自転車の交通違反に対し、これまでの刑事上の責任を問われる赤キップに加え、比較的軽微な違反を対象とした青切符の導入が決定されました。施行は公布から2年以内とされ、重大な事故につながるおそれのある違反については、6か月以内に施行されるとなりました。その後、同年11月に、改正道路交通法の施行により、自転車のながらスマホについて罰則が強化され、同時に酒気帯び及び運転幇助が新たに罰則の対象となりました。
 区では、これまで、特にお酒を飲む機会の増える年末年始に合わせリーフレットを作成し、まちづくりセンターでの配架や町会・自治会及び身近なまちづくり推進協議会へ配布するとともに、町会回覧などの周知に御協力をいただきました。また、区施設のデジタルサイネージやホームページ、「区のおしらせ」への掲載、広報板などへの掲示、各種自転車教室実施時での啓発に努めてまいりました。
 今後につきましても、区内四警察署と連携して、交通安全イベントなどの機会を有効に捉えながら、継続して、改正道路交通法の周知に取り組んでまいります。

◆くろだあいこ質疑
 ホームページへの掲載といった取組だけでなく、町会・自治会、身近なまちづくり推進協議会といった皆様へアプローチされたということ、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。自転車交通安全に関しては、最初に申し上げましたが、全ての方にリーチするということがすごく難しいテーマだと考えております。ただ、やり方はまだまだいろいろあるかなと思っておりまして、自転車に乗る方にしっかりとルールの周知徹底がされるように、どうかいろいろ考えていただければと思います。

 私からは、最後に、砧モデル地区のデマンド型交通について伺います。
 昨年の予算特別委員会でも取り上げまして、宇奈根・喜多見で東急バスが運行しているオンデマンドバスとの違いについて確認をいたしました。宇奈根・喜多見では既存のバス路線が廃止にならないように、代替手段として、区と事業者で検討し始まって、朝方は定時定路線での運行、日中は予約に応じたデマンド型交通として交通網を維持しています。
 砧本村のバス停と二子玉川駅を結ぶ路線バスとの接続がオンデマンドバスにありまして、このオンデマンドバス、路線バスの時刻表に合わせた予約もできるようになっています。私も実際に利用する中で、砧本村へ向かう際、また砧本村から自宅近辺に帰る際に、ほかの乗客複数名と乗り合わせるということが度々ありました。
 一方で、砧モデル地区のデマンド型交通は予約が取りづらい、他の乗客と乗り合わせることが少ないといった声を伺います。砧は既存のバス路線がない公共交通不便地域ということで、運行区域を広く取り、乗降地点を細かくたくさん設定しています。ただ、そのせいで、各利用者の予約をまとめることが難しくなっているのではないかと感じました。
 砧モデル地区において、もしも効率化を図るならば、利用状況、利用の多い乗降地点などを分析し、利用ルートを整理するといった方策は考えられないでしょうか。また、利用も少ない乗降地点は周辺の住民にあまり知られていない可能性もあり、利用者視点に立って、乗降地点をもっと分かりやすく表示できないでしょうか、お伺いします。

◆交通政策課長の答弁
 砧モデル地区で導入したデマンド型交通は、運行ルートを設けず、利用者から事前に予約を受けた後、運行区域内で予約に合わせて乗降地点間を運行し、不特定多数の利用者を乗り合わせて運送する手法でございます。運行区域が広いことから、乗降地点をきめ細かく配置し、乗降地点には路面シートを設置した上で周知しておりましたが、今年度からはより分かりやすくするために、一部の乗降地点やその付近には電柱幕や横断幕も設置しPRしております。
 この間、全ての乗降地点が利用されており、利用者からは乗降地点が自宅から近くにあり、通院やリハビリ、買物、娯楽、余暇活動などに利用しやすいという声が寄せられておりますが、運行区域が広汎にわたり、乗降地点を四十六か所配置していることから運行ルートが複雑化しております。
 区といたしましては、外出促進に結び付くよう、乗降地点や周辺の施設を継続的にPRするとともに、運行事業者が宇奈根・喜多見地区のデマンド型交通を運行していることから、両地区の利用実績も活用しながら、運行システムの改善を通じて、運行ルートの効率化につながるような工夫を検討してまいります。

◆くろだあいこ質疑
 砧のモデル事業を踏まえて、今後の区内公共交通不便地域解消に向けて各地域での検討が始まっていくかと思います。ただ、デマンド交通に限らず、様々なモビリティーの可能性から議論していただきたいと思っております。また、宇奈根・喜多見と砧の違いなど、様々事例が積み重なってきていると思いますので、各地域の状況、特性、需要をしっかりと捉え、課題解決に向けた展開となるよう要望し、私からの質疑を終えて、坂口委員に替わります。

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